SPECTRUM スペアナ Ver.2.0紹介

狭帯域版スペアナ・バージョン

SPECTRUMのスペアナ Ver.2.0では、高分解能・狭帯域のスペアナバージョンです。GigaStスペアナのオプションとして開発してきました。ソフト面はまだ未開発ではありますが、ハード面の構成が概ね整ってきましたので、この場でご紹介いたします。回路構成はGigaStスペアナと異なりますが、データの取り込み方法などはGigaSt準拠なので、ソフトの得意な読者からすると完成時期は早いと思います。当スペアナの特長は以下のようになっています。

  1. 観測周波数帯域: 0 〜 1.1GHz
  2. 高周波ユニット部のUP/DOWNコンバータには、SPECTRUMオリジナルの反転レベルシフトPLL回路を採用
  3. PLL+DDS回路による高分解能な周波数ステップ発振器を搭載
  4. 分解能帯域幅は、搭載するフィルタで選択可能。例えば、アマチュア無線のCWナローフィルタ(帯域周波数250Hz)に通すことで、数100Hzの分解能を得る
  5. 検波回路は、ログアンプAD8307を搭載。理想ダイオードによる検波器(リニア表示)と比べて部品点数が少なく、しかも対数表示が可能。


<項目>回路構成(ブロック設計)
 スペアナの設計にあたり、基本的な回路ブロックから連載して、ご紹介いたします。図1にブロック構成図を書きましたので見てください。

主なブロック構成
(1)UPコンバーター
 ミキサー(部品名:TUF-2)と、局部周波数を600MHz(もしくは300MHz)に固定したVCO(部品名:POS535)の部品により構成されるUPコンバーターは、0〜500MHz(もしくは300〜800MHz)の入力信号を、IF信号として600MHz〜1100MHzへ周波数を変換します。
(2)DOWNコンバーター
 ミキサー(部品名:TUF-2)と、局部周波数可変のVCO(部品名:POS1025)の部品により構成されるDOWNコンバーターは、IF信号の600MHz〜1100MHzを、搭載されたフィルタの通過帯域周波数の領域まで周波数を変換します。
(3)反転レベルシフト制御ブロック
 PLL周波数の安定性を向上させるため、ループフィルタに「ゲタ」を履かせたSPECTRUMオリジナルの反転レベルシフト回路です。D/Aコンバータ回路(CXA1315)で構成されています。
(4)フィルタ回路ブロック
 フィルタは、アマチュア無線のCWナローフィルタ(帯域周波数250Hz)に通すことで、数100Hzの最高の分解能を得ることができます。またSSB、AM、FM用のフィルタなど、様々な帯域周波数のフィルタを搭載し、それぞれ切り替えられる構成にすればお好みの分解能を選択できます。
(5)検波回路ブロック
 検波回路は、ログアンプAD8307を搭載。理想ダイオードによる検波器(リニア表示)と比べて部品点数が少なく、しかも対数表示が可能。
(6)マイコン制御部
マイコン制御による周波数の設定データを、順次DOWNコンバータ部のPLL+DDS回路、反転レベルシフト制御ブロックに送り、周波数を掃引します。
(7)パソコン
マイコンとの通信、各種設定、スペクトラム特性の表示

SPECTRUM Ver.2.0のブロック図
図1. SPECTRUM Ver.2.0のブロック図



回路図を各ブロック単位に分けて解説していきます。

<項目>UPコンバータ回路部
図2にUPコンバータ回路部を示します。ミキサー(部品名:TUF-2)と、局部周波数を600MHz(もしくは300MHz)に固定したVCO(部品名:POS−535)の部品により構成されるUPコンバーターは、0〜500MHz(もしくは300〜800MHz)の入力信号を、IF信号として600MHz〜1100MHzへ周波数を変換します。VCOの周波数は、MB1501のPLL回路によって安定化されています。
ミキサ部(DBM)の原理上、−20dBm以上の信号では、直接RF−INに接続するとスプリアスが増加しますので、RF−INに10dB、20dBあるいは30dBといったアッテネータ(50Ω系)を介して信号を減衰させてから入力してください。

UPコンバータ回路部
図2. UPコンバータ回路部



<項目>DOWNコンバータ回路部
図3にDOWNコンバータ回路部を示します。ミキサー(部品名:TUF-2)と、発振周波数可変のVCO(部品名:POS−1025)の部品により構成されるDOWNコンバーターは、UPコンバータのIF信号(600MHz〜1100MHz)をフィルタ回路の帯域周波数に変換します。VCOの周波数は、MB1501のPLL回路によって安定化されています。また、PLL回路の基準周波数は秋月DDSキットにより、高分解能なステップで掃引されます。
UPコンバータからの信号はハイパスフィルタPHP500(500MHzハイパスフィルタ)に入力し、ミキサ部に600MHz〜約1.1GHzまでの信号を通します。一方、UPコンバータを通さずにスペアナの入力信号を直接接続することで、600MHz〜約1.1GHzのスペクトラムが観測できます。ただし、UPコンバータからの信号と切り替えるスイッチを付けるか、外部コネクタで差し替える必要があります。ミキサ部(DBM)の原理上、−20dBm以上の600MHz〜約1.1GHzのスペクトラムを観測するときは、アッテネータ(50Ω系)を介して信号を減衰させてから入力してください。

DOWNコンバータ回路部
図3. DOWNコンバータ回路部



<項目>反転レベルシフト回路部
図4に反転レベルシフト回路部を示します。8bit D/Aコンバータの2つの出力は、それぞれUPコンバータ、DOWNコンバータ回路の「ゲタ電圧」を供給します。

反転レベルシフト回路部
図4. 反転レベルシフト回路部



<項目>フィルタ回路部
図5にフィルタ回路部を示します。2SK125により信号を増幅します。FCZコイルは、狭帯域クリスタルフィルタの副共振の影響を削減します。共振回路はフィルタの周波数に合わせて調整します。微小な信号を扱う回路ですので、+5V電源は、なるべくディジタル電源(PLL回路の+5Vなど)とは別電源にしてください。

フィルタ回路部
図5. フィルタ回路部



<項目>検波回路部
図6に検波回路部を示します。ログアンプICのAD8307の出力は、バッファアンプOP7を介してマイコン制御部のA/D変換端子に接続されます。

検波回路部
図6. 検波回路部



<項目>マイコン制御部
図7にマイコン制御部を示します。マイコンはPIC16F877を使用しました。マイコンとパソコンとのインターフェースは、プリンターポートに接続するGigaSt準拠になっています。ただし、将来的にはシリアル通信で制御することも考え、MAX232を介してRS232Cポートへ接続しています。

マイコン制御部
図7. マイコン制御部



<戻る>
<トップへ戻る>




テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル